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『TITANS/タイタンズ』シーズン3感想/ビジュアルは最強チーム

2021年12月Netflix配信『TITANS/タイタンズ』シーズン3感想。ネタバレあり。

美女が勢揃いで眼福に尽きる。

DCヒーロー・バットマンのサイドキックを務めるロビン/ディック・グレイソンを主役にした本シリーズも、気が付けばシーズン3。

シーズン2のラストでロビン改めナイトウィングとなったディックと、まだまだチームとしては未熟な《タイタンズ》のメンバーたち。本シーズンでは舞台をサンフランシスコからゴッサム・シティへ移し、よりDCワールドを色濃く反映させたストーリーが展開される。

《あらすじ》
タイタンズが結束しようとする中、新たな脅威が出現。ゴッサム・シティの破壊を目論む強敵レッドフードが、彼らの行く手に立ちふさがる。
《スタッフ・キャスト》
●監督:キャロル・バンカー
●製作総指揮:グレッグ・ウォーカー
●脚本:グレッグ・バーランティ
●キャスト
ディック・グレイソン/ナイトウィング:ブレントン・スウェイツ
レイチェル・ロス/レイブン:ティーガン・クロフト
コリー・アンダース/スターファイヤー:アンナ・ディオプ
ガーフィールド・ローガン/ビースト・ボーイ:ライアン・ポッター
ジェイソン・トッド/レッドフード:カラン・ウォルターズ
コナー/スーパーボーイ:ジョシュア・オーピン
ドナ・トロイ/ワンダーガール:コナー・レスリー
バーバラ・ゴードン/オラクル:サバンナ・ウェルチ
ブルース・ウェイン:イアン・グレン
ジョナサン・クレイン/スケアクロウ:ヴィンセント・カーシーザー

 

タイタンズとゴッサム・シティ

過去の2シーズンでは永遠と内輪揉めを繰り返し、チームとして全くまとまりのなかったタイタンズだが、本シーズンでは冒頭から彼らが見事な連携で事件を解決する姿が早速見られる。少しはチームっぽくなってきたようで安心。

シーズン2のラストでお目見えとなったナイトウィングの衣装がやはりかっこいい。ゲーム「アーカムシリーズ」を思わせるスタイリッシュなデザインでかなり好み。

コリーも私服に負けない派手なコスチュームを新調した様子。ガーは相変わらずどこで売ってるのかわからない変なジャケットを着用。

前作で仲間になったスーパーボーイクリプトもしっかりメンバー入りしている。スーパーパワーを持ったワンコのクリプトが有能で可愛すぎる

 

そんな中、ゴッサムにいたジェイソン・トッドがブルース・ウェインの不在中に、単独でジョーカーを捕まえようとしたところ返り討ちに合って殺されたという一報がディックに届く。さらにはジェイソン殺害の罪で獄中にいたジョーカーをバットマンが殺したとの情報も。

時を同じくしてゴッサムの街に《レッドフード》を名乗る人物が現れ、ゴッサムを支配しようと暗躍し始める。

タイタンズはジェイソンの死の真相と、レッドフードの脅威から市民を救うため、活動拠点をゴッサムへと移す

もう何度目の映像化になるのか分からないが、ゴッサム・シティやアーカム・アサイラムの登場はDCファンとしてやはり嬉しい。本作のゴッサムも例に溺れず腐敗した危険な街として描写されている。住みたくない街ランキングNo.1は伊達じゃない。

とりわけ『タイタンズ』の世界ではバットマンが引退しているため、有名どころのヴィランたちが既に捕まっていたとしても、この街から狂気が消えることはそうそう無いようだ。

ゴッサムの地でディックが協力を求めたのは、バットマンと共に戦った正義の刑事ジェームズ・ゴードンの娘にして元バットガールのバーバラ・ゴードン。亡き父の跡を継ぎ、今はゴッサム市警の本部長として、ゴッサムの悪と闘っている。

片足を失い車椅子で生活している姿を見る限り、コミックにあるジョーカーとの悲劇のエピソードを既に経験済みのようだ。さすがは元バットガール、車椅子に乗っていながら奇襲してきた敵にも対応できる戦闘力を有しているのはさすがである。

舞台がゴッサムになったことで、姿こそ出ないもののバットマンとジョーカーの存在がより強く意識されるようになり、レッドフードやバーバラの登場もあって、これまで以上にバットマン作品っぽさが増した。

『タイタンズ』は単独のユニバース(大枠ではDC映像作品ユニバースの中での「アース9」。『ドゥーム・パトロール』は独立した模様)で他作品の影響を考えなくて良いので、このダークな世界を自由に描き切ってくれることへの期待も大きい。さて今回はどんなゴッサム伝説を築いてくれるのか。

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レッドフード

本作の主要ヴィランであるレッドフード。原作を知っていれば、いや知っていなくても一瞬でその正体は掴めるので、今更もったいぶる必要もないと判断したのか速攻で素顔が明かされる。ジェイソン・トッドだ。

デスストロークに受けた恐怖がトラウマとなっているジェイソンにこれ以上ロビンを続けさせれば、自分と同じように恐怖に飲まれて心を壊してしまう。ブルースはそう思って、ジェイソンにロビンを辞めろ」と告げるが、ジェイソンは反対する。

ジェイソンは、自分にはロビンとしての力があるんだと強がってみせるが、彼はロビンになる以外の自分の価値を見出せていないから、ある意味ロビンを逃げ道にしているようだ。そこをブルースは見破っていた。

恐怖心が原因なのであればその恐怖を無くしてやろう、ということでジェイソンはスケアクロウことクレインに協力を依頼する。かつて恐怖ガスをゴッサムにばら撒こうとしたクレインなら、恐怖を無くす解毒剤も精製できるはず、と考えたわけだ。

しかしゴッサムのヴィランがただの善意で協力するはずもなく、クレインは製薬の方程式を教えながらも、それは同時にクレインの手足としてジェイソンを操るための洗脳薬としても機能するものだった。

半ば薬の虜になってしまったジェイソンに正常は判断などできるはずもない。シーズン1でディックが放った「Fuck BATMAN.」のオマージュだろうか、「Fuck the JOKER.」と言い放ってジョーカー逮捕に乗り出す。この後の悲劇は前述の通り。

ジェイソンの心の弱さも問題だが、ブルースにも責任がある。孤児のジェイソンを養子にしてクライム・ヒーローにしておきながら、今は自己都合で「辞めろ」と言う。

ジェイソンからしたら、「父」の教育に従ってきたのに、その生きがいを勝手に取り上げられてしまったのだから、文句を言いたくなるのも無理はない。この点はディックやバーバラも指摘している。

ジョーカーに殺されたジェイソンは、クレインの思惑のもとDC作品では御用達の便利アイテム《ラザラス・ピット》によって復活。クレインの指示で《レッド・フード》としてゴッサムの新たな脅威となる。

『タイタンズ』は個人的にスーツの造形が他の作品に比べてずば抜けて好みなのが、レッドフードのマスクだけは微妙だった。目が大きすぎるのか、もう少しディティールが入っていたら良かったのかも。首から下はいい感じだっただけにもったいない。

何よりジェイソン役のカラン・ウォルターズでは、コミックのイメージと比べてフィジカル的に線が細すぎる。ある意味、まだ少年のジェイソンではヴィランに完全になり切れないという皮肉とはマッチしていたが。

「タイタンズには戻れないがゴッサムは救える」というディックの言葉によって、最後にはクレインの野望を阻止するタイタンズに加担するジェイソン。

戦いの後のブルースとの会話で、「俺を許せない?」と聞くジェイソンにブルースは「私は恐怖に勝てなかった」「ジョーカーを殺したのは君のためだった」と打ち明ける。これにジェイソンも「ありがとう」と返している。

ブルース自身も恐怖に飲まれ、我を失っていたのだ。和解とまでは言わずとも、理解はし合えた様子。次シーズンからのジェイソンの動向が気になるところである。

 

スケアクロウ

バットマン作品ではどちらかというと小物ヴィランのスケアクロウ

『バットマン・ビギンズ』ではメインヴィランを務めながらも、結局背後にラーズ・アル・グールがいたオチによって一気に駒として扱われるように。『GOTHAM/ゴッサム』版は丁寧にオリジンが描かれていて好きだった。

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今作では珍しく終始メインのヴィランとして登場しているが、ジェイソンのレッドフード化に関与したり、ゴッサムを恐怖ガスによって壊滅させようとするストーリーラインは、ゲーム『アーカム・ナイト』と似ていて既視感強めである。ゆえにあまり目新しさはない。

せめて『GOTHAM/ゴッサム』ばりのスケアクロウのコスチュームでも来てくれたらもう少しヴィラン感も出ただろうに、長髪髭面ではインパクトに欠けるというもの。

前シーズンの戦闘スキルゴリ押しのデスストロークに対して、クレインは頭脳戦でタイタンズを苦しめる。この点は違いを感じて面白かった。クレインの策略でタイタンズが市民の敵になってしまう展開も、王道だが緊迫感があって盛り上がる。

ディックはゴッサムで暗躍するクレインを探すため、バーバラが管理している《オラクル》のコンピューターを使って市民のプライベート回線を盗聴する

このシーンは『ダークナイト』でバットマンが街中の携帯をハッキングしてジョーカーの居場所を突き止めようとした場面を想起させる。

この「一線を超えた」行為は、9.11後に制定された対テロ法の「愛国者法」の問題点を暗喩しているとされ、『ダークナイト』でのバットマンが「ヒーローではない」とされる理由の一つにもなっている。

そんな《オラクル》を逆ハッキングして掌握し、ついにウェイン邸の秘密基地バットケイブまで支配するクレイン。なかなかやり手である。

と思ったのも束の間、バットケイブへの侵入を許し、タイタンズの前にあっさり敗北してしまう。クレインはティムの「ロビン・デビュー」パンチに倒れるのだった。

ウェイン邸侵入の際、施設のパスワードが「逃げた人の名前は?→セリーナ・カイル」なのは笑った。ブルースは結局セリーナが一番好きなのだろうか。これに回答できるティムのヒーローオタクぶりも面白い

後はこの決戦の場面、クレインを止めるためにウェイン邸に侵入するのがディック、ガー、ティムにジェイソンなのに対し、クレインのガスを中和するために「ラザラス・ピットの泉の雨を街中に降らす」という離れ技を担当するのがレイチェルにコリー、コマンダー、コナー、そしてドナと軒並み超人が揃っていて、パワーバランスが考慮されているところに工夫を感じる。1人でも超人をウェイン邸に配役したら侵入も簡単にできたのではと思うところもあるが。

 

死者の復活

ラザラス・ピットでジェイソンとディックが復活するのはまだ許そう。黄泉の国とやらからドナとティムが復活したのは、ちょっと物語が乱暴すぎる気がする。

そもそもあの世界でハンクやドナ、ティムが出会えたのはどういう設定なのか。『タイタンズ』の世界では、死んだ者はいったん黄泉の世界に行き、そこでは死者同士の会話ができ、あの橋さえ渡れたら生き返ることができるのか。念じれば武器が手に入る?某魔法映画に出てきそうなモンスターまでいる。コミックの知識が必要?あまりに説明不足で置いて行かれてしまった。

ワンダーガールやスーポーボーイがいる時点で既に超現実的ではあるが、それでもある程度のリアル路線を突き詰めて欲しいものだ。

特に「死」に関してルールが緩いのは、今後のストーリーを語る上で緊迫感を削いでしまうし、自分の首を絞めることになりそうだが・・・

とは思いつつ、ドナのカムバックは嬉しいし、これに関わっていたレイチェルもタイタンズに帰ってきた。

ドナお姉様は相変わらずお綺麗で惚れ惚れする。そしてえらく大人に成長したレイチェルも極めて美しい。もう美少女ではなく美女の域である。コリーやコマンダーも美人でスタイル抜群、バーバラも素敵。全く眼福に尽きるシリーズである

 

話を戻して、結局黄泉の世界に残ったハンクは、死んだ弟と再会する。「ここにも困っている人が大勢いる」と語る弟の言葉に、ハンクはこの世界の「ダブとホーク」になることを決意する。この場面はかなり熱かった。

次回以降のシーズンでまた黄泉の世界が掘り下げることはあるのだろうか。ラザラス・ピットも決戦で街に持ち運ばれて以降どうなったのかは分からない。

ハンクのようにエモーショナルな展開になるのであれば歓迎だが、あまり乱発するようなことだけは避けてもらいたい。

 

まとめ

ゴッサムを舞台によりDC感強めの作風となったシーズン3。レッドフード/ジェイソンの今後の描かれ方に注目したい。できればもう少し鍛えてもらえると、クライム・ヒーローとしてのレッドフードらしさも出てくるか。

コリー/スターファイヤーとコマンダー/ブラックファイヤーの物語もいったん綺麗なところで着地した。コマンダーは自分に王位継承権があることを知り、タマラン星への帰還を決意する。コナーの協力で宇宙船を製造中だが、次シーズンでも物語に絡んでくる可能性は十分ある。

バーバラの側近だったヴィーは《アーガス》より派遣されたとのことで、今後何かとアーガスも出てきそうな予感。バーバラのセリフから、アーガスには《アーセナル》ことロイ・ハーパーもいる様子。

『ARROW/アロー』に始まる「アロー・バース」作品にも登場しているアーガスやロイだが、作品ごとの設定を覚えるのがだんだん厳しくなってきた

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初登場のティム・ドレイク。今回は「ヒーローを夢見る少年」で終わったが、ディックの「センスはいいが訓練が必要」という言葉に、3代目ロビンの誕生を感じる。今のロビンスーツも気に入っているが、ぜひリニューアルにも期待したい。

レイチェルが人々の恐怖を溜め込んだラザラスの水をクレインにぶち込むという最高のしっぺ返しで絞めるラスト。大きなクリフハンガーもなく綺麗に終わるところも好印象だった。

さて2022年は『ザ・バットマン』『ブラック・アダム』『アクアマン・アンド・ザ・ロスト・キングダム』そしてキートン版バットマン復活の『ザ・フラッシュ』と、DC映画も攻勢に出る1年。

いつまでもマーベルだけにいい顔をさせられないだろう。

 

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